不動産テックの最前線に──トレンドを味方に業界の未来をつくるエンジニアの視点
2025.05.29 THU
今つくっているものが、業界の当たり前になる未来を描いて。
いえらぶGROUP商品開発本部の執行役員として、開発組織を率いる田村。
不動産テックの最前線で、新しい価値を生み出し続けるエンジニアの視点に迫ります。
INDEX
・世の中を前進させる仕事がしたかった
・責任者としていえらぶを進化させる新たなフェーズへ
・「不動産業を始めるならいえらぶを使う」が当たり前の世界を目指して
株式会社いえらぶGROUP
田村 敬也
2015年いえらぶGROUPにエンジニアとして新卒入社。様々ないえらぶCLOUD主力機能の開発に携わり、入社2年目には新部署立ち上げと同時に課長に昇格。アプリケーションの開発設計を特に強みとし、複数の新サービス立ち上げで中心的な役割を果たす。その傍らで、サービスインフラのAWS移管を主導しインフラコストの削減を実現するなど、横断的に対応できる技術力を備える。
2025年に執行役員に就任。現在はプロダクト全体の品質向上と開発効率の最適化を軸に、より強い開発組織づくりとサービス価値の向上に取り組んでいる。早稲田大学商学部卒。
世の中を前進させる仕事がしたかった
――田村さんが、“不動産テック”の分野でモノづくりをしようと決めたきっかけは何でしたか?
田村 もともとは、特定の業界に絞らず「自分が面白いと思える仕事ができるか」「成長実感を得られる環境で働けるか」という視点で企業を見ていました。
――では、不動産業界に興味を持ったのはいえらぶに出会ってから少しずつ?
田村 はい。テクノロジーに興味を持ち、IT企業を中心に選考を進めるようになりました。
いえらぶは、熱量の高いITベンチャーだと感じて選考を受けたのですが、「不動産業界には未だアナログな部分が残っている」という現実を目の当たりにし、驚きました。おこがましいかもしれませんが、ITの力で効率化できる部分がこんなにもあるんだと感じたんです。
せっかく働くなら“世の中を前進させるような仕事”がしたかったので、不動産テックはまさにそれが叶う分野でした。ITの力で社会課題を解決できるインパクトが大きく、挑戦しがいがある。だからこの業界に飛び込もうと決めました。
――職種に選択肢があるなかで、エンジニアとしての道を選んだのはなぜでしょうか?
田村 価値を“つくる側”として世に貢献できることに強く惹かれたからです。実は営業志望でしたが、思い切って舵を切りました(笑)。
配属直後は、主にCRM(顧客管理機能)の刷新に参画しました。どんどん開発にのめり込んでいき、入社1年目の夏に主任に昇格しました。年末には新サービスをゼロから設計・実装し、無事リリースまで牽引することができ「これはテクノロジーでアップデートできる領域だ」と確信するようになりましたね。
中でも思い出深いのは、不動産会社の入出金処理を自動化する複雑な機能を構築したプロジェクトです。業務効率を大きく改善できただけでなく、自分が設計した仕組みが実際の現場で役に立ち、業務の中に確実に溶け込んでいく。そのプロセスを肌で感じられたことがエンジニアとして大きな手応えでした。
――その後、開発責任者として様々なサービスに携わられたんですね。
田村 はい。2年目の夏には課長に昇格し、責任者として様々な開発を進めてきました。特に印象に残っているのは2020年にリリースした「らくらくロボシリーズ」というRPAサービスです。
「らくらくロボシリーズ」は、不動産会社の毎日のルーティン作業をロボットの力で自動化するサービスです。物件情報の登録や更新、画像の整理、広告のチェックといった細かくて手間がかかりがちなプロセスをロボットが無人で処理します。手作業に頼りがちな業務を効率化し、人的リソースをより価値の高い業務にシフトできるのが特徴です。
サービスリリースの1年後には月間稼働時間10,000時間を突破
不動産会社の作業削減効果は平均で月150時間

こうした具体的な数値を目の当たりにしたとき、「自分が設計したサービスで働き方に新たな選択肢を提供できた」と思いました。単なるシステム構築に留まらず、技術の力で業界全体の効率性と生産性を引き上げられる。エンジニアとして、世の中に対し新たな付加価値を創出し提供できる。この仕事ならではの醍醐味を味わった瞬間でした。
責任者としていえらぶを進化させる新たなフェーズへ
――田村さんは2024年末に執行役員に昇格されましたね。
田村 はい、ありがたいことにお声がけいただきました。自分の仕事を見て評価してもらえた結果だと思うので素直に嬉しかったです。
――立場が変わり、現在注力していることはなんでしょうか?
田村 大きく2つあります。1つ目は新たな事業分野への進出です。これまで賃貸領域が主軸でしたが、今は売買領域のDX推進にも本格的に乗り出しています。
――売買領域に踏み出したのは、何か明確な理由があったのでしょうか?
田村 “世の中に売買領域の決定版と呼べるようなサービスがまだない”という点です。だからこそ、不動産売買業務のDXを促進する余地が多く残されており、業界全体を変革できる可能性があります。未開拓な分、これまで培ってきた知見を元に業界の基盤となるシステムを作ることができれば業界全体に対する影響力は計り知れないと捉えています。
売買領域のデファクトスタンダードとなるサービスをつくるのが目標です。
――2つ目に注力されていることはなんですか?
田村 「いえらぶに必要な開発組織とは何か?」という組織ビジョンを強く描くことです。常に3年後、5年後の未来から逆算して考えています。もともと全体最適の視点は常に意識していましたが、技術・人・サービスの全方位で意思決定が求められるようになり、見える景色が一段上がった感覚があります。組織全体を俯瞰しながら実行に移す裁量が増えました。
一方で、管掌範囲が広がった今こそ、メンバー一人ひとりと丁寧に向き合う時間を大切にしています。メンバーがどんな価値観で動いているのか。どこにやりがいを感じ、どこでつまずいているのか。そうした一人ひとりに目を凝らしながら、「この人が最大の成果を出すためには、何が必要か?」を徹底的に考えるようにしています。組織を強くするのは、仕組みだけじゃない。人の力を引き出すことが大切な仕事だと思っています。

「不動産業を始めるならいえらぶを使う」が当たり前の世界を目指して
――これからのいえらぶに込める想いを教えてください。
田村 不動産業を開業する方々が、いえらぶを当たり前に使う世界を実現します。
そのためには常に最新のトレンドをシステムに組み込んで、業界の最前線にいえらぶがいることが大事だと思っています。
――最近、生成AIなどの最先端技術を取り入れたサービスの開発にも力を入れていますよね。
田村 はい。生成AIをはじめとする技術の進化はここ1〜2年で加速度的に進んでいます。そして不動産業界も例外ではなく大きな変革期を迎えています。こうした技術トレンドに対して常にアンテナを高く張り、情報収集を行っていますね。現状維持ではなく進化を続けるために、その時々の最適解を模索し続けています。
ただし、闇雲に新しい技術を導入すればいいというわけではありません。私自身、これまで多くのプロダクトを手がけてきた中で技術導入のメリットとリスクを深く理解しているつもりです。だからこそ、「不動産業界というドメインにおいて本当に価値があるのか」を見極めることを重視していますし、その判断は開発組織だけで完結させず営業サイドとも密に連携しながら進めています。
――判断のスピード感も求められそうです。
田村 そうですね。意思決定の質とスピードを上げることを常に意識しています。そのスピードこそが、最終的にサービスの競争力を高めると考えているからです。
技術的に優れているだけではなく、ユーザーにとっての本質的な価値を提供する機能を実装すること。この両輪が揃ってこそサービスは業界に定着し、次の成長へとつながると考えています。
――新しいものに対してスピード感を持って取り組める背景には、いえらぶならではの文化もあるんでしょうか?
田村 あると思います。不動産テックはまだまだ未開拓な領域で、今まさに新しい技術やツールによって市場が大きく動き始めています。だからこそ、いえらぶは常に先手を打ち、変化に即応する。その姿勢で私たちは不動産テックNo.1ベンチャーとして飛躍を続け、いえらぶを業界全体の“プラットフォーム”へと育てていきます。
――まさに今が“攻め時”ですね。
田村 はい。社内では若手のうちから新サービスの企画に携わったり、新技術の活用を主導していたり日々新しいチャレンジが繰り返されています。開発における絶対的な解は存在しないからこそ、やってみて結果を出した人が次の標準をつくる。年次や肩書きに関係なくチャンスを掴む環境です。
もちろん、すべてが成功するわけではありません。
でも、仮に失敗したとしても学びの蓄積になります。「自分だから自由に任せてもらっている」そんな裁量がある会社ですので、自信をもって行動すればいいんです。
――いえらぶの未来を一緒に作っていく仲間に、今どんな人が加わってほしいですか?
田村 未来を一緒につくっていくためには、やっぱり“素直でいい人”がいちばんだと思います。いえらぶでは、未経験からでも挑戦するチャンスがちゃんとあって知識や経験は後からついてくる。「新しいことに挑戦したい」という思いを持っている人と、どんどん面白いものをつくっていきたいですね。変化の激しい業界で、素直に変化を受け入れられる人が活躍すると考えています。
――新しい仲間と一緒に、今後どのような挑戦をしていきたいとお考えですか?
田村 「いえらぶに任せられるところは任せて、不動産会社にしかできない仕事にもっと専念できる」。そんな未来がつくれたらきっと業界全体がより良くなり、それはすなわち日本がもっと良くなっていくと思っています。
最終的には「不動産業を始めるなら、いえらぶを使うのが当たり前」という世界をつくるために、これからもクライアントに貢献していくのはもちろんのこと、社会全体の成長につながっていくための開発にこだわり続けていきます。
――ありがとうございました。
