AI時代に問われるのは、“使えるか”ではなく“どう使うか”──「生成AI時代の人材育成」セミナーについて解説

#不動産テック #生成AI

2025.08.12 TUE

いえらぶGROUPでは、7月16日(水)に「生成AI時代の人材育成」をテーマとしたセミナーを開催しました。
当日は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(以下:JDLA)専務理事の岡田さん・公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会 常務理事の三戸部さんにご登壇いただき、「AIを業務に活かすには何が必要か」「どのような業務に活用できるのか」など、すぐに実務に活かせる具体的な視点や活用方法をご紹介いただきました。

本記事では、セミナーで語られた内容をもとに、AIを自社の業務や組織でどう活用していけるかのヒントをご紹介します。
AIリテラシーを高めたい方や、社内での活用を広げていきたい方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

INDEX

生成AI時代の人材育成セミナー概要
岡田さんによる、JDLAの取り組み・生成AI最新トレンド紹介
生成AIの活用方法を探る―パネルディスカッション―
登壇者インタビュー
関連情報

一般社団法人 日本ディープラーニング協会 専務理事

岡田 隆太朗

1974年生東京都出身。慶應義塾大学在学中に起業。事業売却後事業会社を連続設立し、2012年 株式会社ABEJAを共同創業。2015年より、IT経営者のコミュニティイベントInfinity Ventures Summitの運営事務局を設立し事務局長に就任。
2017年、ディープラーニングの産業活用促進を目的に一般社団法人日本ディープラーニング協会を設立し事務局長に就任。2018年より同理事兼任。(現専務理事)2024年より内閣府「AI制度研究会」構成員。

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 常務理事
/株式会社アーバン企画開発 代表取締役社長

三戸部 正治

大学卒業後、神奈川県内で中堅総合建設会社に就職。施工現場管理に従事しながら、一級建築士などの資格取得。不動産に関心を持つようになり、28歳の時に父親が経営していたアーバン企画開発(神奈川県川崎市)に入社。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会では、神奈川県支部幹事として研修等の企画を行い、業界発展のために精力的に活動。2024年に常務理事に就任。

株式会社いえらぶGROUP 執行役員

和田 健太郎

2014年いえらぶGROUPにエンジニアとして新卒入社。開発とマネジメントの両面で早期から成果を上げ、多様なチームを率いて事業成長に貢献。自社のクラウドサービス開発だけでなく、大企業向けの大規模システム開発も主導する。
2024年から執行役員に就任。プロダクト開発全体を統括するとともに、いえらぶGROUPのAI戦略責任者として、生成AIをはじめとする先端技術の事業実装を推進。高度な知見と豊富な経験を活かし、不動産業務に革新をもたらすソリューション開発の最前線を担っている。大阪大学大学院理学研究科数学専攻修了。

生成AI時代の人材育成セミナー概要

AIの急速な進化により、企業は今や「導入するかどうか」ではなく、「どのように活用するか」が問われる段階に入っています。
なかでも、不動産は暮らしを支える基幹産業であり、この分野におけるAI活用の進展は、業界内にとどまらず社会全体に大きな影響を及ぼすと考えられます。
こうした背景のもと、本セミナーでは「生成AI時代に求められる人材育成」をテーマに、現場と経営層のギャップ解消や、導入時に注意すべきリスク、業務への具体的な適用例まで幅広く解説しました。

岡田さんによる、JDLAの取り組み・生成AI最新トレンド紹介

セミナーでは、「AIを活用するうえで何よりも大切なのは、正しく理解し、使いこなせる人材を育てることだ」というお話がありました。
特に岡田さんが強調していたのは、次のようなポイントです。

・AIの技術は日々進化しており、すべてを学び尽くすのは現実的ではない。だからこそ、「今、何を学ぶべきか」を見極めることが重要。
・AIの普及には、知識の習得だけでなく、実際の活用事例をつくり、それを共有し合うことが欠かせない。
・日本は少子化による人手不足という社会課題を抱えており、AIやロボットを受け入れやすい文化的背景がある。今こそ社会全体で活用を進める好機である。
・AIの基礎を体系的に学び、実践につなげる手段として「G検定」(※)がある。
正しい知識を身につけることが、AI活用への第一歩となる。

AIに対して構えすぎず、正しい使い方を意識しながら“まず試してみる”ことが、これからの活用につながる一歩なのだと感じさせられるセミナーでした。

※G検定とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する、AI・ディープラーニングの活⽤リテラシー習得のための検定試験です。 AI・ディープラーニングに関わる全ての方が受験対象です。 AI・ディープラーニングについて体系的に学ぶことで、「AIで何ができて、何ができないのか」「どこにAIを活用すればよいか」「AIを活用するためには何が必要か」が理解でき、データを活用した新たな課題の発見やアイデアの創出が可能になる、デジタル施策の推進に自信が持てるようになるなど、あなたのビジネスやキャリアの可能性が飛躍的に広がります。

生成AIの活用方法を探る―パネルディスカッション―

“AIをどう使い、どう育て、どう広げていくか”。現場と経営、両方の視点からリアルなヒントが詰まったパネルディスカッションとなりました。

"AIはあくまで“道具”。恐れず使いこなす姿勢が活用の出発点になる。
 「危ないから使わない」といった姿勢では、活用も人材の成長も進まない。
・社内浸透には、経営層が率先して関心を持ち、実際に使ってみせることが重要。
・AIは導入して終わりではなく、継続的に活用・改善していくことが求められる。活用の定着には、業務への適用だけでなく、効果の測定とプロセスの見直しが不可欠。
・AIの成果物(例:コード)の採択率などを日々記録し、精度や有用性を可視化する。
・社内の業務にかけている時間や価値を言語化し、AIの適用範囲を見極めることで、継続的な改善につながる。

AIを恐れずに使う姿勢が社内に少しずつ広がっていくことが、活用を根づかせる一番の近道かもしれません。

登壇者インタビュー

セミナーでは、業界の第一線で活躍するお二人から、生成AIが不動産業界にもたらす変化や人材育成のあり方など、さまざまな視点からお話がありました。

セミナー終了後には、登壇いただいたお二人に加え、弊社執行役員の和田も交えてインタビューを実施。
セミナーでは語りきれなかったリアルな課題感や導入の裏話、今後の展望など、さらに踏み込んだお話をうかがいました。

――実際に業務へAIを取り入れていく中で、現場ではどんな課題や戸惑いの声が多いと感じますか?

三戸部さん 「どのツールを、どの業務に使えばいいのか分からない」と戸惑う声は、今も多く聞かれます。
これは、かつてパソコンが登場したときと似ています。当時も「仕事が奪われるのでは」という不安がありましたが、パソコンもAIも、あくまで“道具”にすぎません
遠ざけていては取り残されてしまう時代だからこそ、前向きにAIを使いこなす姿勢が大事になってくると感じます。

――企業として、どんな体制や人材育成の仕組みを整えておくべきでしょうか?

岡田さん 最も重要なのは、「事例をつくる」ことです。小さな実践を繰り返す中で、成功も失敗も含めた知見が組織全体に蓄積されていきます。
そのためには、同じリテラシーを持つ人材同士が対話できる場や、社内で試せる環境を整えることが効果的です。
また、「これはグレーかも?」と迷う活用も、最近では相談窓口や指針が整備され、安全な範囲での試行錯誤がしやすくなっています。
こうした取り組みの積み重ねが、企業全体のAI活用を後押しする力になっていくのではないでしょうか。

和田 「月に数千円だけ試す」といった低コストな小さなトライアンドエラーを積み重ねていくのも有効だと思います。
いきなり成果を出すのは簡単ではありませんが、生成AIの活用はインターネット検索の普及と同様に、活用が当たり前になるフェーズに入っています。
だからこそ、最低限の情報漏洩対策を講じたうえで、まずは少しでも触れてみることが、将来的な活用につながると考えています。

――実際に活用していくために、まずはどのようなことから始めるべきでしょうか?

岡田さん 計画よりも行動です。「とにかく触ってみる」こと。日々の業務で面倒なことをAIに頼むなど、まずは自分自身が「AIは使える」という小さな成功体験を持つことが、全ての始まりになります。

和田 ちょっとしたハードルですが、ぜひ「何かの有料版を1ヶ月だけ」お試ししてみることをおすすめします。
たとえばChatGPTやNotion AIなど、自分の業務に近いツールを選ぶと効果が実感しやすいです。

――この記事をご覧になっている皆さまに、「次にやってほしいこと・できること」があれば教えてください。

岡田さん 私からは、このセミナーをきっかけに、ぜひ取り組んでいただきたいことが3つあります。
まず1つ目は、「AIは他人事」という意識を捨てることです。経営者から新入社員まで、誰もがAI時代の当事者です。「AIに仕事を奪われる」と恐れるのではなく、「AIをどう使いこなそうか」という前向きな視点に切り替えていただきたいです。

2つ目は、今日から1日1回、AIに何かを尋ねてみること。業務の相談でも、雑談でも構いません。毎日触れることで、AIのクセや使いどころが感覚的に分かってきて、「これにも使えるかも」といった発想が自然に湧いてくるはずです。これは、未来の必須スキルを身につけるための“素振り”のようなものです。

そして3つ目は、社内でたった一人でもいいので、今日の学びを共有することです。たとえば同僚に「今日のセミナーでこんな話があってさ」と話しかけて、「うちの部署ならどこに使えそう?」と会話をしてみてください。そうした小さな対話が、組織全体に変化を生み出す“さざ波”になると思っています。

三戸部さん 岡田さんのお話にもありましたが、「まず触れてみること」が何よりの一歩です。まずは、身近な業務で使えそうな場面を探し、気軽に試してみるところから始めてみてください。ゲーム感覚でも構いません。
ただし、個人情報の取り扱いには注意が必要です。たとえばOpenAIを使う場合は、情報をぼかす、イニシャルにする、さらに「モデル学習させない設定にする」といった工夫が重要です。こうしたリスクへの配慮も含め、安全に活用を進めていただければと思います。

まとめ

AIは、“使えるかどうか”よりも、“どう使っていくか”がこれからの大きなテーマです。
特別な知識がなくても、日々の業務の中でちょっとした場面から活用のヒントが見つかるかもしれません。
ぜひ今回の記事を参考に、ご自身の業務の中で「これなら試せそう」と感じるところから、少しずつAIに触れていただけたら嬉しいです。

関連情報

今回のセミナーに登壇した、いえらぶGROUP 執行役員・和田による連載も公開中。
ぜひ、あわせてご覧ください。

▼連載:AIで変わる不動産業界――変革の波に乗るSaaS戦略
・第1回 AI時代の到来――「今」を理解する
https://www.ielove-group.jp/blog/detail-04828

・第2回 AIが導く不動産テックの未来像――深化する統合と業界再編
https://www.ielove-group.jp/blog/detail-04834

・第3回 AIには代替できない人間の価値――「ヒューマンタッチ」の重要性
https://www.ielove-group.jp/blog/detail-04837

・最終回 JDLA 岡田専務理事と語る――AI活用の壁と成長戦略
https://www.ielove-group.jp/blog/detail-04841

▼いえらぶGROUPが展開する生成AI関連サービス・取り組みのご紹介

・「いえらぶAI間取り」リリース
https://ielove-cloud.jp/news/entry-984/

・「AIコンテンツ生成機能」リリース
https://ielove-cloud.jp/news/entry-956/

・「AIコンテンツ生成機能」サービス紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=F_kGfZy_EaI

・生成AI体験会
https://www.ielove-group.jp/blog/detail-04813

・「AIOCR機能」リリース
https://www.ielove-group.jp/news/detail-1105

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