「できたらいいな」を実現!1年目エンジニアのAIOCR開発秘話

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2025.06.06 FRI

いえらぶでは、AI技術を活用して不動産業界の働き方をもっと便利に、もっと効率的に変えていく取り組みに力を入れています。今回はその最前線から、書類の情報をAIが自動で読み取ってくれる新機能「AIOCR機能」(以下、本機能)の開発ストーリーをご紹介します。

AIOCRとは?

・OCRって?: 紙の書類や画像に書かれた文字を、コンピューターが読み取り、編集可能なデジタルデータに変換する技術です。
・AIOCRはさらに賢い: 単に文字を読み取るだけでなく、AIが書類の内容や文脈を深く理解し、物件名、住所、価格など、必要な情報を自動で判断し、整理してくれます。いえらぶでは、最新の技術を持つ外部の高性能AIモデルを活用しています。
・使い方はとても簡単: 不動産会社の方は、物件情報が書かれた書類(PDFや画像ファイルなど)を「キマール」にアップロードするだけ。あとは1分ほど待てば、AIが自動で情報を読み取り、システムの該当項目に登録してくれます。特別な操作は必要ありません。
・導入するメリットは?: これまで手入力で行っていた物件情報の登録作業が劇的に効率化され、作業時間は最大で90%削減されます。入力ミスも減り、お客様への提案やフォローといった、より付加価値の高いコア業務に時間をかけられるようになります。

この画期的な機能の開発で中心的な役割を担ったのは、当時新卒1年目だったエンジニアの川内野です。若手ながら大きな裁量を持ってAI開発という未知の領域に飛び込んだ川内野に、開発のきっかけや、乗り越えた壁、そしてAI開発の面白さについて、じっくり話を聞きました。

INDEX

・きっかけは「やってみよう!」 好奇心と現場の声から始まったAI開発
・大切なのは「使う人の気持ち」― 現場と社内の知見を力に
・登録からお客様への紹介まで、すべてがスムーズに
・AI開発は「夢がいっぱい!」 人にしかできない仕事に集中できる未来へ
・未来のエンジニアを目指す皆さんへメッセージ

株式会社いえらぶGROUP

川内野 宏陽

2024年新卒入社。内定者期間中から開発にジョインし、2つのサービスをリリース。最優秀内定者賞を受賞し、1年目には主力サービスの新機能開発を主導。ユーザーニーズ理解のため、実際の不動産会社での現場業務経験を経て、主任に昇格。2年目からはチームを率い、若手育成にも貢献している。趣味はバドミントン、読書。

きっかけは「やってみよう!」 好奇心と現場の声から始まったAI開発

―― 本機能はどのような経緯で開発することになったのですか?

川内野 私は、不動産売買プラットフォーム「キマール」というサービスの開発を担当しています。「キマール」は、不動産会社間の情報連携をスムーズにし、売買取引を効率化するためのサービスです。

その「キマール」への開発要望として、営業担当から「お客様に喜んでもらえる、インパクトのある機能が欲しい」という強い要望があったのが始まりです。

不動産会社同士のやりとりでは、まだまだ紙の書類でのやり取りが多く、「この紙の情報を自動で読み取ってくれるような機能があれば、お客様の業務が劇的に楽になるのではないか」と考えたのです。それが、いえらぶの認知度向上や関心を集めるきっかけにもなると考えました。

―― 最初からAIOCRだと決まっていたわけではなかったのですね。

川内野 そうです。社内の会議で「AIで何か面白いことができるのではないか」という話が出て、「まずはやってみよう」という流れになったのです。正直、最初はどれくらいの精度が出るのか、本当に実用的なものが作れるのか、手探り状態でした(笑)。

しかし、実際に試してみたら「あれ?意外とちゃんとできるぞ」という手応えがあって。そこから本格的に開発プロジェクトがスタートしました。

―― お客様からの具体的な要望もあったのでしょうか?

川内野 以前から「AIOCRで物件登録を自動化できないか」というご要望は複数のお客様からいただいていました。不動産業務において、物件情報の一元管理はお客様への物件紹介や契約手続きを行う上で非常に重要です。しかし、この物件情報をシステムに登録するという作業は、業務の最初の段階でありながら非常に手間がかかります。ここを効率化したいというニーズは以前から高く、今回の開発の大きな後押しになりました。

―― 川内野さんがAI開発に興味を持ったのは、どんなきっかけだったんですか?

川内野 実は、大学では政治経済学部を専攻していたのですが、エンジニアリングにはもともと興味があって。いえらぶに入社する前から自費で専門スクールに通ったり、独学で知識を深めたりしていました。そこで培った知識と持ち前の探究心を活かし、入社後も社内のサポートを受けながら、プロダクト開発と並行してAIの専門知識を習得していきました。
常に実践を通して学ぶことを意識しており、AI開発において将来的にはもっと重要な役割を担えるようになりたいと思っています。自身の継続的な学びが、新しいものを生み出す可能性に繋がると強く実感しています。

大切なのは「使う人の気持ち」― 現場と社内の知見を力に

―― 本機能の開発を進める上で、特に大切にしていたことは何ですか?

川内野 一番は「使う人の気持ちになる」ということです。この機能を使ってくださるのは不動産会社の皆さんなので、どうすれば皆さんの日々の業務が楽になるか、どんな機能があれば本当に「便利になった」と喜んでもらえるかを常に想像しながら開発を進めました。

―― 不動産会社の業務を理解するために、具体的にどのようなことをしましたか?

川内野 まずは、営業担当の方々にたくさん質問して、お客様の状況や業務の流れについて詳しく教えてもらいました。それに加えて、少し珍しい経験かもしれませんが、不動産仲介会社に実際に出向させていただき、現場の業務を体験させてもらいました。これは、会社として新たにBtoB売買向けのサービスを展開するにあたり、不動産売買の実務についてより深く学ぶ必要があったためです。上司からの提案を受け、私もぜひやってみたいと返答したところ、上司が不動産会社側と調整してくださり実現しました。3ヶ月ほど、週に2、3回通って、物件情報の確認や入力、お客様への対応などを、社員の方々と一緒にやらせていただきました。

―― 入社1年目で現場体験、それは貴重な経験ですね。

川内野 非常に勉強になりましたし、エンジニアとして開発する上で、この経験が自分の大きな強みになったと感じています。実際に現場で業務を体験してみると、「ああ、ここがすごく大変なんだな」「こういう機能があったら絶対に便利になるのに」という発見がたくさんあるのです。

例えば、不動産会社からいただく物件情報というのは、色々な情報が1つのPDFファイルにまとめて送られてくることが多いです。それをシステムに登録するために、必要な情報だけを抜き出したり、情報を整理したりするのが結構手間がかかる作業で。そこで、「PDFを簡単に分割したり、必要な部分だけを抽出したりできる機能も一緒に開発する必要がある」と考えて、本機能とは別に、そういった補助機能の開発にも取り組みました。

―― AIの精度向上など、技術的な壁はありましたか?

川内野 そうですね、AIの精度を上げる部分では試行錯誤がありました。ただ、いえらぶにはグループ会社を含め、他の機能でAIを活用している実績と知見があったんです。特に、グループ会社のいえらぶ琉球にAI関連に詳しいエンジニアがいたので、その方に積極的に質問して、開発のコツや注意点を教えてもらいました。社内の知見を頼れたのは大きかったですね。

登録からお客様への紹介まで、すべてがスムーズに

―― AIOCRサービスは他の会社も提供していますが、いえらぶならではの強みは何でしょうか?

川内野 いえらぶのシステムの最大の強みは、物件の情報と、その物件に興味を持つ可能性のあるお客様の情報が、「キマール」の中で一元管理されている点だと考えています。

本機能で物件登録が楽になるのはもちろんですが、登録された物件情報をすぐにお客様へご紹介したり、追客したり、といった次のアクションにスムーズに移れるのです。物件情報の登録から、お客様へのご紹介、契約まで、不動産業務の一連の流れを一つのシステムで切れ目なく完結できる。これが、他社サービスとの大きな違いであり、いえらぶのシステムならではの価値だと考えています。

▼不動産売買プラットフォーム「キマール」に「AIOCR機能」を実装!|いえらぶCLOUD
https://www.ielove-group.jp/news/detail-1105

AI開発は「夢がいっぱい!」 人にしかできない仕事に集中できる未来へ

―― 川内野さんご自身は、AI開発のどんなところに面白さを感じますか?

川内野 昔は「こんな便利な機能があったらいいな」「これが自動でできたらどんなに楽だろう」と、頭の中で想像するしかなかったことが、AI技術の進化によって「あれ?これもう作れるのでは?」と、どんどん現実のものになってきているところに、一番面白さを感じます。自分のアイデア次第で、今まで不可能だったことが可能になる。本当に「夢がいっぱい」な分野だと感じています。

―― AIOCR以外にも、AIを活用して不動産業務をさらに便利にするアイデアはありますか?

川内野 色々なアイデアがあります。例えば、物件情報の「矛盾チェック」機能などです。不動産仲介会社で現場業務を体験していた時、同じ会社から来た書類なのに、書いてある情報が微妙に違っていることがあったんです。途中で変更があった内容が、一部の書類に反映されていなかったり。そういう、人間では見つけるのが大変な矛盾点をAIが自動で見つけてくれたら、確認の手間が省けて非常に助かります。

他にも、急な電話での問い合わせがあった時に、「あの物件の情報、どこかにあったかな」と、たくさんの書類の中から探すのは大変です。そういう時も、AIに話しかけたり、キーワードを入力したりすれば、一瞬で関連する書類や情報を見つけてくれるようになったら、非常に便利になると思います。AIを活用した不動産業務の効率化には、無限の可能性があると感じています。

―― 将来的に、AI技術を不動産業界にどのように取り入れていきたいですか?

川内野 究極的には、不動産会社の方々が、お客様と向き合う時間、つまり「人にしかできない仕事」にもっと集中できる状態を作りたいです。物件情報の入力のような事務作業や、書類を探すといった雑務は、どんどんシステムやAIに任せていけるようにしたい。そのための技術開発を進めていきたいですね。

未来のエンジニアを目指す皆さんへメッセージ

―― 最後に、AI開発や、いえらぶでのエンジニアの仕事に興味を持っている学生さんに向けて、メッセージをお願いします。

川内野 AI技術はものすごいスピードで進化していて、学べば学ぶほど新しい発見がある、本当に面白い分野です。もし少しでも興味があるなら、ぜひ臆せず飛び込んできてほしいと思います。

学生時代にやっておくと良いこととしては、「いろんなことをとりあえずやってみる」ことだと思います。プログラミングでも、他の分野でも、少しでも興味を持ったら、まずは触れてみることが大事です。続かなかったとしても、一度やってみた経験、つまり「0を1にする」経験は、その後の学習や挑戦のハードルをぐっと下げてくれます。

いえらぶには、私のように、「これ面白そう」「やってみたい」と声を上げれば、挑戦させてくれる、後押ししてくれる環境があります。実際に不動産の現場を知る機会もあり、ユーザーの顔を思い浮かべながら開発に取り組むことができます。

自分のアイデアを形にして、世の中の「困った」を解決したい、人々の働き方を便利にしたい、そんな熱い想いを持っている方と一緒に働けたら、これほど嬉しいことはありません。皆さんと一緒に、AIの力で不動産業界の未来を創っていける日を楽しみにしています。

▼川内野が出演したYouTube動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=jBAVBxzYqlU

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